11月15日(土)・16(日)に、SUPER GTの第8戦MOTEGI が開催されました。
今シーズン最終戦であり、いよいよタイトルが決定します。
第7戦を終えた時点で、グッドスマイル ・ Studie ・ LM corsa のBMW勢は
ドライバー・ランキングで 1位 ・(同点)2位 ・6位
チーム・ランキングで 1位 ・(単独)2位 ・6位 という成績です。
BMWは3年ぶりのタイトルに王手をかけている状況です。
そして最終戦はレギュレーションによりウエイトハンデが課されませんので、各車の真の速さがそのまま表れます。
但し、強力なライバルのGAINER SLS(ドライバーランキング同点2位、チームランキング3位)は、最終戦の舞台ツインリンクもてぎを大の得意にしています。
STOP&GOが多いコース特性に、ブレーキ性能に優れたマシン特性が合っており、昨年は2位以下を周回遅れにする程のぶっちぎりの優勝でした。
グッドスマイルは、ポイントで先行して有利ではあるものの、決して楽観視できる状況ではありません。
仮にGAINER SLSが優勝したとすると、3位以上にならないとタイトルは獲得できません。
Studieは、ぶっちぎりに速いSLSに勝ちかつグッドスマイルが崩れる展開になる必要があり、現在2位ではあるものの普通に戦ったのではタイトル獲得は困難な状況です。
そしてStudieは、無難に2位キープを狙うか、リスクを承知でタイトルを狙うかを考えた末、後者を選択しました。
気温が予想より低くなることに賭け、それに的を絞ったタイヤ選択をしたのです。
> 山間部にあるサーキット ツインリンクもてぎは11月になると急激に冷え込みます。しかも、今年のSUPER GTは、タイで初開催された第7戦の日程の影響を受け、昨年よりも10日以上も開催が遅くなりました。チームは、ここに勝利の可能性を見出します。この レースに向けて、低い気温と路面温度で最大限にパフォーマンスを発揮するタイヤを調達したのです。厳しく底冷えするという気象条件さえ満たされれば、最終戦のポールトゥウィンも視野に入ってきます。
SUPER GTはレギュレーションによってタイヤの使用本数を制限しているため、作戦に替えは利きません。
もし気温が高くなれば予選・決勝共に惨敗してしまいますが、低くなれば大逆転のタイトル奪取もありえます。
そして運命のレース週末になり、その天候は・・・
透き通った秋晴れに恵まれました。路面温度は、作戦の成功に必要とされた温度を大きく上回る23℃になりました。
この時点で、Studieが描いた大逆転のシナリオは実現困難になってしまいました。
本数の限られたバックアップ用のタイヤを労わりながら戦いましたが、予選は健闘空しくQ1敗退の14位に沈みました。
決勝はタイヤ無交換作戦を敢行し追い上げを見せるものの、7位で最終戦のゴールラインを駆けぬけました。
その一方・・・
グッドスマイルは予選日朝の練習走行では8位に沈み、セットアップに苦しみました。
仮にGAINER SLSが優勝したとすると3位以上にならないとタイトルは獲得できませんが、このタイムではそれは望めません。
そこで、ほぼ全てのセッティング項目を大幅に変更するという「大ギャンブル」に出て、予選3番手を獲得しました!
(対するライバルGAINER SLSは、予想通りポールポジションを獲得します)
そして、運命の決勝を迎えます。
タイヤが温まりきらない1周目に、事前の狙い通りOGT PRIUSを抜き2位に順位を上げます。
ですがGAINER SLSには離される一方で、後ろからはRn-SPORSTS SLSやAUDI R8に追い立てられます。
ついに23周目はRn-SPORTS SLSに、26周目にはR8に抜かれてしまい4位にダウンし、王座奪還に赤信号が灯ります。タイヤの消耗も激しいです。
Z4と同じヨコハマタイヤタイヤを使う他のチームはタイヤ無交換またはリア2本のみ交換という作戦が多い中、グッドスマイルは交換時間が長くなるのを覚悟で4本交換作戦を選び、27周目にピットインします。
ドライバー交代(片岡選手から谷口選手へ)およびタイヤ交換を終えると8位まで後退しましたが、他車のタイヤ交換などに乗じ、4位にまで順位を上げます。
そして、タイヤ交換を2本に留めることで前に出たR8をタイヤが温まる前にオーバーテイクし、タイトル条件の3位に浮上します!(GAINER SLSはトップを快走しています)
残り15周ほどはZ4の背後にR8が迫り続け、3位争いがタイトルを左右する展開になります。
そして・・・!
グッドスマイルが粘りの走りで3位を死守し、ゴールしました!!
Z4にとって、2011年以来3年ぶりの王座奪還です!!!
SUPER GT 2014(GT300クラス)の最終ランキングは、以下の結果となりました。
【ドライバーランキング】
1位 グッドスマイル 初音ミク Z4 谷口 信輝、片岡 龍也
2位 GAINER SLS 平中 克幸、 ビヨン・ビルドハイム
3位 Studie BMW Z4 荒 聖治、 ヨルグ・ミューラー
7位 TWS LM corsa BMW Z4 吉本 大樹
【チームランキング】
1位 GAINER
2位 GOODSMILE RACING & TeamUKYO
3位 BMW Sports Trophy Team Studie
5位 LM corsa
ドライバーランキングで、BMW勢は1-3-7位を占めました!
(スポット参戦ドライバーのポイントも加算されるチームランキングと比べ、
継続性が要求されるドライバーランキングの方が重要視され、メインタイトルとして扱われます。)
準ワークスチームともいえるStudieは、参戦初年度ながら3位と健闘しました。
第2戦での初歩的なミスによるペナルティや、第3戦での予選時のトラブルが無ければ、BMW勢で1位&2位を占められたかもしれませんが・・・。
そんな「たられば」を考えるよりも、グッドスマイルの王座奪還を素直に喜ぶべきかも知れませんね!
谷口 信輝選手、片岡 龍也選手、片山 右京監督、おめでとうございます!
さすがチャンピオン経験チーム&ドライバーは、戦い方の懐が深いですね!
来シーズンのSUPER GTは、どんな展開になるのでしょうか?
BMW勢の更なる活躍を期待します! G.Sekido