抜群の空力(Cd係数0.22)と超軽量設計(諸説あり350kgまたは430kg)を生かし、エンジンは非力(32~40馬力)ながら最高速度は200km/hにも達したとのことです。 空冷リアエンジンなので機能的には不必要なキドニーグリルは極限まで小さくされており、個性的な表情です。
(もしZ4や507のような横長で薄いグリルなら、整ったスタイリングになるようにも思えます) ドアは無く、一体型のルーフ&ウインドウを開いて乗り降りする構造になっています。 衝突安全等の基準から、現代では認められない構造&素材なのかもしれませんが、自動車の可能性を感じさせる1台です。 そしてルイジ・コラーニは、その後もBMWをベースに斬新な提案をします。 M2(1981年)という名前の、BMW M1をベースとしたデザインスタディです。 空力を最優先したスタイリングなのでしょうが、ここまでくると公道に適さないのはもちろんサーキット走行も厳しいように思えます。 空力の可能性への飛躍的な提案、といったところでしょうか..? BMW Turbo(1972年) ミュンヘンオリンピック開催とBMW博物館を建設した記念としてBMWが製作したコンセプトカーで、BMW初のターボエンジン搭載車です。 ガルウイングを初採用したミッドシップ・スポーツカーで、そのターボエンジンは2002 Turbo(1973年)、デザイン・コンセプトはM1(1978年)に引き継がれ量産されました。 最高速250km/h・0-100km/h加速6.6秒と、当時として第1級の走行性能を持っていました。 衝突安全性を考慮した構造も初採用され、斬新な操作系を備えていました。 時代を超越した車です。 M1の生誕30周年を記念したデザインスタディ M1オマージュ(2008年)が発表された際に、BMW Turboも併せて展示されていました。
先日、ミラフィオーリ2018というイベントに、とある事情がありお邪魔してきました。
(毎年モリコローパークで開催される、一般参加型の欧州車の祭典です。) 国も時代も様々な車が参加されていましたが、BMW Z1を久しぶりに見られて嬉しかったです。 ちなみに私がZ1を初めて見たのは大学生時代で、Z1に関する事前知識がなかったこともあり、強烈な衝撃を受けた記憶があります。 その頃と違って、現代はインターネットによって様々な情報が手軽に入手できるので「こんな車見たこと無い...!」と驚くことは少なくなりましたが、ネットがあるからこそ超希少な車の情報に巡り合う事もあります。 例えばBMW Group Classicというアカウントでは、BMWのクラシックカーの美しい写真が公開されていますが、まれに希少車や珍車?も登場します。 中でも印象的なのが・・・ これはBMW 507 Loewy Concept(1957年)という車で、名車BMW 507をベースにフランス生まれの工業デザイナー Raymond Loewyが未来的なボディを被せたワンオフ車両のようです。 (3代目のコルベットにも少し似ていますが、全く別の車です) キドニーグリルは無く、フロントのBMWマークは運転席寄りに配し、リアランプは突出させるなど、とても個性的です。 同様にBMW 507をベースにしたワンオフ車両では、有名デザイナー ジョバンニ・ミケロッティによる作品 BMW 3200 Michelotti Vignale(1959年)もTweetされています。 打って変わって直線基調で、ちょっとアメ車っぽさも感じます。この車もBMWマークが控えめですね。 このBMW 2002 GT4 Frua Coupe(1969~70年)は、個人的に好きな車です。 BMW 2002tiをベースにイタリア人デザイナーのピエトロ・フルアが製作した車で、2台のみ製作されたようです。(ミニカーも販売されていました) そのうちの1台は堺市ヒストリック・カー・コレクション(Doi BMW Collection)にも保管されています。 フロントフェイスは精悍で、ベースとなった2002との共通部分が見出せないほどスポーティーなフォルムです。 リアハッチはテールエンドまで長く伸ばされ、GT4という名前(4人乗りGTという意味)の通り、居住性や積載性も重視していることが窺えます。 BMWマークをCピラー部に配すのは、BMWクーペの隠れた伝統?ですね。 ちなみにピエトロ・フルアはこの他にも、Glas GT/BMW 1600GT(1964-68年)やBMW/Glas 3000 V8 Fastbackcoupé(1967年)など、後にBMWに買収され引き継がれるハンス・グラース社の市販車・試作車のデザインにも関わっています。 フルアはそれ以外にも、多数の試作車を製作し、BMWに提案したようです。 そして先日、ある方のブログで初めて知ったのが・・・ BMW 2800 Spicup(1969年)というコンセプトカーです。 内外装色は鮮烈で、ボディ各部のデザインも近未来的に斬新です! BMW 507をベースに、イタリアのカロッツェリア ベルトーネが製作した車で、ルーフは電動スライド式のハードトップが備わっています。
(三菱RVRオープンギア と似た機構です。) SPICUPという名前は、スパイダー+クーペという意味のようです。 エンジンカバー部分を残して開くボンネット、芸術作品のような内装など、新しい提案が随所に盛り込まれています。 ちなみに開閉式のヘッドライト・カバーは、ベルトーネはその後他社の市販車(ランボルギーニ・ハラマ)にも採用しています。 奇抜なディテールに目を奪われがちですが、基本的なフォルムが美しいのもこの車の特徴です。 BMWのKING OF 希少車といったところでしょうか...? (追伸:希少車コレクションの第2弾も こちら に掲載いたしました) 他にも希少車の情報があれば、ぜひ当ブログのコメント欄等で教えてください! G.Sekido
カッコイイと思っていた車の写真も、楽しく描かれたイラストを見た後に見直すと、その表情で見えてくるのが面白いです。 人間は、「3つの点でも顔に見える現象」があるほど、本能的に「顔を認識しようとする力」が強いようですが、車に対しても当てはまりますね。 話は変わって、BMWのフロントフェイスについてですが・・・。 BMWの現行ラインナップの「顔」は、全モデルでの共通性に加え、
モデル間での「連続した変化」があるのをご存知でしょうか...? 1 series 2 series (coupe) 3 series 4 series (coupe) 5 series 7 series
(画像は全てM Sportです)
いずれもBMW流の精悍なフロントフェイスながら、ある規則性を保ち変えられています。
連続性が分かりやすいように、ヘッドライトとグリル部分を並べますと・・・。
シリーズの数字が大きくなるごとに、 ヘッドライトとキドニーグリルが横長になり、お互いに寄り添うようにつながって、 さらにつながっている部分が次第に太くなり、一体感を強めているのです! (ちなみに5シリーズと7シリーズは、左右のキドニーグリルの間もブラック・アウト処理されています) イメージ的には、【カジュアル → ゴージャス】、
または、【スポーティー → ラグジュアリー】という変化のように思えます。
個人的には、大きいモデルほど「憂いを含んだ眼差し」のような、「目頭がうるんでいる」ようなイメージも受けます(^^;ゞ 発売順では、3シリーズ(2012年)→4(2013年)→2(2014年)→1(2015年)→7(2015年)→5シリーズ(2017年)となります。
なので、ヘッドライトとグリルの一体感は「新しいモデルほど強い」わけではありません。 このような連続性を持った並びになるように、意図的・計画的に、5年がかりで成し遂げられたように思えます。
(Z4や6シリーズは独自路線ですが、Xシリーズはこの「連続した変化」にほぼ準じています) 「イメージの変化の一貫性」があると同時に、「フロントフェイスだけでもモデルを判別できる」と思います。
ベンツやアウディも、「ファミリーフェイス」と呼ばれる共通性の高いデザインを採用していますが、各モデル間の類似性は無秩序で、「微妙に違うけどどのモデルなのかよく分からない」と思います。 それに対し、BMWのデザイン戦略は緻密かつ深遠だと思います! BMWのデザイン戦略は、モデル間に加え、世代間でも緻密かつ深遠です。 テクノロジーの進歩や、時代の要求等を踏まえ、緩やかに変化させています。 某社の車のように、「四ツ目」にしたかと思えば「二ツ目」に戻したり、急にガバっと縦に長いグリルに変えたりすることは、デザインの歴史・蓄積や、お客様を軽んじていると思います。 「BMWの顔」には、そんなBMWの商品哲学が表れていると思います! そして、「BMWの顔(Face)」つながりで・・・