Super GTに参戦しているBMW Sports Trophy Team Studie の今シーズンのここまでの流れをお伝えします。
昨シーズンは、参戦初年度ながらドライバーズランキング3位と健闘しました。
BMWの「準ワークス」格チームとして、今シーズンは初優勝、さらには初タイトルを目指したいところです。
尚、昨シーズンのチャンピオンチームグッドスマイルレーシングは参戦車をZ4 GT3からSLS GT3に変えたこともあり、Studieは有力チームでは唯一、Z4 GT3を使うチームになりました。
そして日本のSUPER GTではFIA-GT3車両(Z4やSLSやR8やGT-Rなど)に加え、JAF-GT規格車両(プリウスやCR-Zのハイブリッドカー、BRZなどのSUPER GT専用車)や、今シーズンからはGT300マザーシャシー(汎用車体)が参戦可能になりました。
これらの個性に富む車両が同じ土俵で激しく戦えるように、FIAを始めとする機関によりBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)という性能調整項目(リストリクターの寸法)が定められています。
(今シーズンは、BLANCPAIN GTシリーズのプロモーターであるSROが、全ての車両のBoPを策定します。)
Z4は厳しい条件のBoPを課せられ、エンジン出力を制限されています。
「コーナリング性能に優れる分、直線スピードを制限されている」という感じです。
さらに、レース中の給油時間を左右する給油リストリクターについても、Z4はより厳しい条件に変更されました。
(一方、JAF-GT車両は大きく緩和され、ピット時間の短縮が図られ有利になりました)
Z4は昨年のGT300チャンピオンマシンだけあり、より厳しいハンデを負わされたという状態です。
そうして迎えた4月4日・5日の開幕戦・岡山は、予選は8位となりました。
一般的に予選はエンジンマップに「予選モード」があるターボ車やハイブリッド車が有利とされている中、自然吸気V8エンジンのZ4 GT3としてはまずまずのポジションと言えると思います。
雨に濡れた決勝は、Z4の優れた基本性能を生かしての追い上げが期待されます。
ドライバーの荒選手は8番グリッドから好スタートを決めたのですが・・・。
単独スピン&コースアウトで、まさかの1周目リタイアに終わりました・・・。
濡れたコーナーの立ち上がりで前車のテールがスライドし、その影響もあってスピンを誘発されたようです。
非常に残念な結果ではありますが、予選Q1はトップタイムで通過するなど速さを垣間見せていたので、第2戦以降での巻き返しを期待させました。
5月2日・3日に行われた第2戦・富士は快晴に恵まれ、GW中という事もあって総入場者数は過去最高の9万1500人と大盛況になりました。
予選は、赤旗中断でのアタック失敗などで薄氷を踏む展開になるものの、なんとか9位を得ることができました。
ヨルグ・ミューラー選手は昨年の富士では自身のミスによるペナルティを課せられた悔しい思いもあり、決勝では何としても雪辱を果たしたいところです。
迎えた決勝は、ヨルグ・ミューラー選手は好スタートでポジションを上げ昨年の借りを返すものの、その後は我慢の展開になりました。
鼻先を押さえるSLSを、「コーナーでは猟犬のように追い回す」ものの、BoPにより削られたエンジンパワーによりストレートでは最高速が伸びず、どうしても抜くことができません。
ドライバーが荒選手に交代してからも、昨年までZ4を使う同僚チームであったグッドスマイルのSLSとのランデブー走行が続き、そのまま6位でフィニッシュしました。
これにより今シーズン初ポイントを獲得し、ドライバーランキング10位、チームランキング9位になりました。
今シーズンは、BoPや燃料リストリクターの差から、JAF-GT勢がかなり有利なようにも見えます。
(中でもプリウスは「これではGT300じゃなくてGT400だ」なんて声もあるようです)
ですが、SUPER GTは独自のウエイトハンデ制がありますので、やはり今年もシーズンが進むと混戦になってくるのではないでしょうか...?
ちなみに、先日行われた伝統の耐久レース「ニュルブルクリンク24時間レース」では、
Z4 GT3が予選はポールポジション、決勝は僅差の2位と大活躍しました。
BMWのGT3車両は来シーズンからM6になる予定なのでZ4 GT3は今シーズンで見納めになりそうですが、依然として高い競争力を維持していることが表れています。
次戦ROUND3は唯一の海外戦で、タイのチャン・インターナショナル・サーキットにて6月20日・21日に開催されます。
「稀代のコーナリングマシーン」であるZ4 GT3のポテンシャルと、
BMWワークスドライバー & ルマン・ウィナー である両ドライバーの腕で、
Studie BMWの巻き返し、そして悲願の初優勝を期待します! G.Sekido