SUPER GTの今シーズンの第3戦が、6月3日(土)・4日(日)に鈴鹿サーキットで行われました。
第3戦が行われる鈴鹿は昨年にチーム初の優勝(Pole to Win)を果たしたサーキットであり、予選・本戦に向けての期待が高まります。
予選Q1は「セカイノアラ」こと荒 聖治選手が、トップと僅差の2位で通過します!

予選Q2は、過去4度!のスーパーGTチャンピオン経験者である柳田 真孝選手が挑みますが、「悪い思考ループ」にはまりQ2最下位の16番手に沈んでしまいました...。
そこで決勝に向けて、荒選手は大胆な戦略を立案します。
「レース開始直後にピットインして、給油を済ませる」という作戦です!
第3戦のレース距離は通常の1.5倍の450kmで、
2回のピットイン(給油)がレギュレーションで義務づけられています。
通常はそのレース距離をほぼ3等分して2度の給油を行いますが、
その1度目をあえて極めて早いタイミングに行う事で単独走行状態を作り出し、他車と競り合ったり邪魔されたりしてペースを落とすことなく最善のラップタイムを刻み、最終的に上位進出するという作戦です。
※F1ではタイヤ交換をライバルより早めに行う「
アンダーカット」という作戦がありますが、トラフィック(混雑)を避けるという点で共通する効果があります。
スティント(次のピットインまでの走行)が長くなることから燃料搭載量が増え重くなったりタイヤに厳しいという側面もあるので、メリット・デメリットの見極めが必要です。
高根チーフエンジニアは一晩かけてデータ解析をし、チームはその作戦の遂行を決定します!
迎えた決勝の第1ドライバーを担当した荒選手は、レース開始早々の1周目にピットに飛び込み、1度目の燃料補給を済ませます。
同じく1周目にGR Supraが、続く2週目にGR86がピットインし、同様の「第1スティント短縮作戦」を3チームが選んだことが明らかになります。
レースの折り返し(39周目)付近で2度目のピットインを行い、給油とタイヤ交換を済ませます。
そして荒選手から交代した柳田選手は、快調にラップを重ねます。
ライバル各車が50周目付近で2度目のピットインをしている間に、
狙い通りのトップの座に立ちます!
同様の「第1スティント短縮作戦」を取るGR86を背後に抑えてトップ走行を続け、後方からは2台のGTRが迫る中、そのアクシデントは起きました...!
GT300クラスの9番手を争い並走していたLamborghini GT3(松浦 孝亮選手)とGR86(織戸 学選手)を、GT500のZ(松田 次生選手)がアウトから抜く際に接触し、
非常に大きなクラッシュになったのです。
Lamborghiniは回転しながら大破し、Zは宙を舞った後フェンスに衝突して車体がバラバラになりました...!
(Zは
原型を留めないほどの状態でしたが、松田選手・松浦選手に
大きな怪我は無かったことが後に発表されました。現代のレーシングカーの衝突安全性能は、本当に素晴らしいと思います。)
その事故によってレースは赤旗中断とされ、協議の結果
レース終了となり、順位が確定しました!
Team Studieの今季初優勝です!!
「第1スティント短縮作戦」は、車体が軽く燃費の良い
JAF-GT300勢(86,SUPRA,BRZ等)では過去にも行われていましたが、大柄な車が多い
FIA-GT3勢(M4,AMG GT,R8等)で
この作戦を敢行したチームはありませんでした。
その大胆な作戦を発案した荒選手、遂行した松浦選手とチーム、マシンとタイヤの性能などの、総合力の勝利です!
ちなみにレース決勝は柳田選手の誕生日でもあり、自他ともに認める
「超持ってる男」っぷりが発揮されました!
運も味方につけられるのは、それをしっかり受け止める作戦と実力があってこそだと思います!
この勝利によって、
ポイントランキングはトップと5点差の4位に上昇しました。
M4 GT3とTeam Studieの今後の活躍が楽しみです! G.Sekido