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Concorso d’Eleganza Villa d’Este"(コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ)は、「
世界で最も格式が高い」とも評される自動車コンクールイベントです。
1929年より続く世界最長の歴史を誇る"
Concours d’Elegance"(コンクール・デレガンス)で、コモ湖畔に佇むイタリアを代表するホテル
Villa d'Este を舞台に毎年行われており、今年は5月19日から21日にかけて開催されました。
その会場にて、
BMW Concept Touring Coupe が発表になりました!
Z4ロードスターをベースした
コンセプトカーで、ルーフとラゲッジスペースを備えた
シューティングブレーク的な成り立ちです。
BMWは、過去にもロードスター(2シーターオープン)をベースにしたクーペを発売したことがあります。
超個性的なスタイリングのZ3 Coupe(1998年)と、流麗なフォルムのZ4 Coupe(2006年)です。
Concept Touring Coupeはその2台の中間的なフォルムと個性を持っていて、とても魅力的だと思います。
今回は"Concept"だけあって1台のみが製作されたデザインスタディという扱いですが、ぜひ市販化してほしいです!
魅力的な外装の内側には、イタリアの高級家具メーカー・ポルトローナ・フラウ(
Poltrona Frau)によって仕上げられた内装と、モデナの高級レザーブランド・
スケドーニ(Schedoni)がカスタムメイドしたこの車専用のバッグ類も備えられています。
その華やかで洗練されたインテリアは、イタリア・コモ湖でのイベント会場の雰囲気にとてもマッチしています。
(ちなみにBMWのお膝元ミュンヘンはドイツでも南に位置しており、イタリア国境までは直線で130km程、コモ湖までは陸路で400km程と、距離的にも遠くありません)
そして、実はこのコンセプトカーは、BMWにとって壮大な伏線の回収でもありました。
この歴史的イベントはBMW Group Classicが
1999年より後援していることもあり、ここ3年の開催を告知するポスター風の画像にはBMWのヒストリックカーが描かれています。
2021年用には
507が、2022年用には
M1と3.0CSLが描かれていました。
そして今年のポスターに描かれた、「三つ目」にも見える特徴的な車は何かというと...。
1940年の
ミッレミリアで
総合優勝を果たした名車、
328 Touring Coupe でした。
※ グリルの中央に、競技用のアディショナル・ヘッドランプが装備されています
BMWが誇る歴史の象徴であると同時に、その名前を引き継ぐ "Concept Touring Coupe" の発表に向けた布石でもあったのです!
(ちなみに昨年のポスターに描かれた3.0
CSLは、
昨年の同会場にてお披露目されたM4 CSLの予告でもありました)
なお、328 Touring Coupeの "Touring" は、この車のボディを製作したイタリアのコーチビルダー・
カロッツェリア・トゥーリング(Carrozzeria Touring)に由来します。
鋼管スペースフレームとアルミ外板を用いた軽量化技術である「スーペルレッジェーラ」(
superleggera)構造で有名で、この車のボンネットやリアエンドの中央にもその名が記されています。
(ベースとなった
328ロードスターの車重が約830kgだったのに対し、Touring Coupeは780kgと軽量されたこともあって、高い走行性能を持っていました)
実は2台の "Touring Coupe" は、「ドイツとイタリアの合作」という意味でも共通していたのです。
粋な演出だと思います!
そして今年の同イベント会場では、さらにもう1台の伏線回収?がありました。
この
グレーに塗られた特別なM1についてなのですが...。
話が長くなりそうなので、続きは後日にしようと思います。
誠に恐縮ですが、続編をお待ちください!
G.Sekido