先日、こんなことがありました。
車を運転していると、こんな感じに自転車が走ってきました。
段になった歩道と、車道の左側の白線の間を、こちら向きに走ってきたのです。
(画像は借り物です。また、実際はもう少し歩道も車道も広い道路でした。)
私から見ると、前方を走っている自動車の左脇の影から、自転車が結構なスピードで飛び出してきた状態だったのでビックリしました。
ですが自転車の運転者(中年の男性)は、私と目が合うと「何か文句でもあるか」と言わんばかりに不服そうな表情をされ、そのまま走り去って行きました。
「もし私が左側の店舗に入ろうとハンドルを切っていたら相当あぶなかっただろうなあ」と思うと同時に、疑問がわきました。
そもそも、自転車は道路のこの部分をこの方向に走っていいんでしたっけ・・・?
そこで、これはブログのネタになるかもと思い、(^^;ゞ
自転車の交通ルールについて調べて、まとめてみました。
★自転車は「軽車両」であり、原則として車道を走ります。
★自転車の右側通行は禁止されています。
★例外として、次のような場合は、自転車は歩道を通行できます。
(1)道路標識や道路標示で指定された場合
(2)運転者が13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者、 身体の不自由な方の場合
(3)車道や交通の状況からみてもやむを得ない場合
ただし自転車道が設けられている道路では、やむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければなりません。
(注意して見てみると、歩道はかなりの割合で「自転車通行可の標識」が出されています。例えば交差点で横断歩道に隣り合って「自転車横断帯」がある場合は、その前後の歩道は基本的に自転車通行可になっています。)
★歩道は歩行者優先です。自転車が歩道を通行するときは、車道寄りの部分を徐行しなければなりません。
なお、自転車が歩道を走行する際の方向については定めがありません。どちらの方向に走行しても大丈夫です。
・・・と、ここまでは疑問や違和感はありません。
ですがこれ以降はだんだんややこしくなってきます。
歩道が無い道路で、車道の脇に引かれた実線より外側を「路側帯」と言います。
路側帯は、基本的に歩道と同様に扱われます。
では路側帯は、自転車は通行しても良いのでしょうか?
★自転車は路側帯も通行できます。また、どちらの方向に通行しても良いです。
(ただし、路側帯を示す線が2重の実線の場合は、「歩行者専用路側帯」なので自転車は通行できません。といってもほとんど見かけたことはありませんが..。)
そして、この路側帯と紛らわしいのが、「車道外側線」です。
歩道が無い道路に引かれた実線より外側は「路側帯」ですが、
歩道がある道路に引かれた実線は、「車道外側線」と言います。
見た目は同じ白の実線ですが、名前も意味合いも異なるのです。
ちなみにこの車道外側線は、「車両が通行するときに、端に寄りすぎると危ないからこの線の右側を通ってくださいね」というような目安のようです。
では自転車はどのような扱いになるのでしょうか?
「路側帯」は歩道と同様の扱いをされますが、
「車道外側線と歩道の間」は、自転車にとっては車道と同様の扱いとなります。
自転車はここを通行できますが、右側を通行してはいけません。
つまり、逆向きに通行してはいけません。
以上をまとめると、このような図になります。
「通行可能な歩道」や「路側帯」は双方向ともOKですが、
「車道」や「車道外側線の外」は、自動車と同じ方向にしか走れません。
・・・ということで、冒頭に書いた自転車の方は、本来はNGでした。
ですが、堂々とそのように走行された理由も分かるような気がします。
近年の自転車ブームに伴う歩行者との事故の増加等の背景もあってか、
一昨年に警察庁から全国の都道府県警に、自転車の原則車道通行徹底の通達が出されました。
それまでは「自転車は歩道を通行する」のが半ば原則だったような状況だったところに、いきなり「自転車は車道を通行する」という原則だけが広まった結果、
「自転車は車道も走れる」→「歩道と同様にどちら向きに走っても良いんだろう」という発想になったのでは、と思います。
もしかしたら、交通ルールではNGだと分かっていて、それでも逆向きに通行している人もいるかもしれません。
私もたまに自転車に乗りますが、歩道は対自動車という点では安全なものの、起伏や交差点の段差があって走りにくいと思います。
かといって車道を走ろうとして、わざわざ道路の反対側まで行く必要があると、それもおっくうだと思うのも分かります。
そんな背景で、知らずにまたは故意に、車道や車道外側線外を逆向きに走る方がいるのではと想像しますが..。
しかし、車道や車道外側線外を逆向きに走ることは、大きな危険があります。
自動車と自転車の相対速度は、順方向の場合は引き算(「自動車の速度」マイナス「自転車の速度」)ですが、逆方向の場合は足し算になります。
例えば自動車が45km/h・自転車が15km/hだとすると、相対速度は順方向の場合30km/h・逆方向の場合は60km/hと2倍にもなります。
事故にあう危険性は相対速度に伴って増加します。
そして事故にあった時の運動エネルギーは、相対速度の2乗に比例します。
(先程の例だと、逆方向だと運動エネルギーは4倍!にもなります。)
正しい自転車の交通ルールと逆走の危険性について、
警察や役所や各メディアはもっと熱心に、もっと分かりやすく伝える努力をするべきではないでしょうか..?
以上、長々と失礼いたしました。
お読み頂き誠にありがとうございました。 G.Sekido
※※※※※ 追 伸 ※※※※※
平成25年12月に改正道路交通法が施行され、自転車の交通ルールが上記内容から変わりました。
(自転車の道路右側の路側帯の通行が禁止されました)