前回のブログの続きです。
その概要を書きますと・・。
運転席正面の表示部を1丁目、その左を2丁目、それより下を3丁目とします。
ナビ画面は2丁目に配すると運転中でも視線移動が少なく安全ですが、遠いため手が届きにくいです。
そこで手元にコントローラを設けると安定して操作できます。
近年のBMW・ベ○ツ・ア○ディはこの方式を取っています。
一方、多くのメーカーは操作方法にタッチパネル式を用いています。
タッチパネルはコスト面等でメリットがあるものの、画面を手が届く範囲に置く必要があります。
3丁目に配すると手が届きやすいですが、視線の移動量が大きくなります。
2丁目に配すると、デザイン性や操作性(手の届きやすさ)を妥協する必要があります。
そもそもタッチパネル操作それ自体が、視覚に対する依存度が高く、操作時の腕も安定せず、運転中の操作方法として最適とは言えません。
以上の理由から、BMW等が採用する「ナビ2丁目配置、手元コントローラ操作型」が(現時点での)最善方式だと思います、という内容でした。
今回はそれ以外の方式と、それを通じて見えてくるものや、今後の動向について書こうと思います。
上記以外の方式で、代表的なものとしましては・・。
「1丁目空き地型」
いわゆる「センターメーター」タイプです。
速度計等の重要な情報を2丁目に表示し、1丁目は空き地になっています。(そこを小物入れとしている車もあります)
結果としてナビ画面は3丁目付近に配することになります。
日本だとト○タやダ○ハツ、海外だとシ○ロエンやフ○アットに多い印象があります。
日本での販売台数ランキング上位のいくつかがこの方式なので、メジャーな方式の一つとも言えます。
個人的には、「運転中の視認性に優れる1丁目を有効活用できない」という点で、合理性を欠く方式だと思います。
「右ハンドル車と左ハンドル車との造り分けを合理化するために採用したのが始まり」との記述もありますが・・。
現代の車の内装は複雑かつ左右非対称で、そもそも「センターメーター」と言ってもメーターが車体の中央にある車は少なく、多くは運転席寄りになっています。
そのため左右ハンドル車で共用化できる部分は少なく、合理化やコスト削減にはあまりつながっていないと思います。
むしろ、この方式を採る理由の一つは別のところにあるように思いますが、それについては後述いたします。
「1丁目はみだし型」
1丁目がステアリングの内部に収まらず、その上方にはみ出しているタイプです。
表示が上下に分断されている車(ホ○ダ)、全てが上方にある車(ニッ○ン、プ○ョー)等があります。
情報の視認性に優れるようにも思えますが、個人的には疑問を感じる方式です。
これらの車は「車両前方の見切りが悪い」というウイークポイントを共有していると思います。
フロントガラスの付け根の位置が高く、伸びあがってもボンネットはほとんど見えず、車両前端の位置を想像することが困難です。
近年は、空気力学を追求する意味もあってか、ワンモーションフォルム(ボンネットとフロントガラスが直線的につながる)を採る車が増えています。
また、歩行者の衝突安全性を高めるためにボンネットを高くする(内部の空洞を大きくする)必要があり、フロントガラスの付け根の位置が高い車も多くなったと思います。
運転環境の確保のためには、本来であればその高さに併せて着座位置を高く想定し室内空間を構築するべきだと思うのですが・・・
天井の高さが相対的に低いとか、プラットフォームを既存モデルから流用しているためステアリングコラム高さ等の基本構造を変えにくい等の背景があり、想定する着座位置を高くできないのではないでしょうか。
そして、着座位置に対してダッシュボード全体が高い → フロントガラスの付け根の位置が不自然に高い感じや、内装デザインの間延び感を低減したい → ステアリングの上側にメーターを配した、という成り立ちのように思えます。
(上の画像で、もしこの位置にメーターが無かったらと想像すると、かなり茫洋とした視界になります)
前述した「1丁目空き地型」(近年のセンターメーター車)の多くも、車両前方の見切りが悪いと感じます。
フロントガラス付け根の位置が高いという同様の背景があり、その結果あのようなレイアウトを採ったのではと思います。
ちなみに、フロントガラスの付け根の位置やダッシュボード全体が運転席に対して相対的に高いことは、車両前方の見切りが悪くなることに加え、Aピラーが寝ることによる死角の増加、車幅感覚を把握しにくくなるというデメリットもあるように思います。
「1丁目空き地型 」や「1丁目はみだし型」も、理想的な情報視認・操作環境を追求した結果というよりは、メリット・デメリットを天秤にかけた上の妥協の選択である、というのは言い過ぎでしょうか。
先日本国にて発表になったBMW 2シリーズ アクティブツアラーや日本でも発表になった新型MINIでは、透過式の小型スクリーンに投影するタイプのヘッドアップディスプレイが採用になりました。
以前から、フロントガラスに投影するタイプはいくつかのメーカーが商品化していましたが、生産コストや機構を埋め込むスペースの関係からか、採用事例は中級車~高級車がほどんどでした。
今回このクラスまで採用に踏み切ったのは、スクリーン投影式とすることで低コスト化・省スペース化が実現できたということだと思われます。
表示部はダッシュボードより上部のガラスエリアにあるので、
この方式を「0丁目表示」と名付けたいと思います。(^^;ゞ
「0丁目表示」と「1丁目はみ出し型」では、ステアリングの上側に情報を表示するという意味では似ていますが、構造や機能性に加え、その成り立ち(積極的な開発 vs 消去法的選択?)も大きく異なると思います。
と、いうことで・・・
BMW等が採用する
「ナビ2丁目配置、手元コントローラ操作型」(プラス「0丁目表示」)は、
パッケージング(車両の構造)に始まり動的な使用環境まで考慮し、
「自動車の理想的な情報視認・操作環境」に真摯に向き合った結果生み出されたものだと思います。
そして、今後の発展としては・・・
先日Apple社から、CarPlay が発表になりました。
iPhoneと車両を接続し、車両側の画面や操作系でiPhoneの機能を利用する、というものです。
今年中にいくつかのメーカーからこのCarPlayを搭載した車が登場する予定です。
BMWも「提携パートナー」という扱いになっており、搭載車種のデビューが予定されているようです。
CarPlayの操作は、音声・タッチパネル・手元コントローラーに対応するとの記載があり、早くもデモ動画も公開されています。
近々発売される予定で、タッチパネルと手元コントローラーの両方を装備すると発表されている新型車もあります。
そしてiPhoneに限らず、他のスマートフォンでも同様の機能が開発され、導入が進むと思われます。
今後BMWはどのように対応し、変化していくのでしょうか・・?
独立型のディスプレイをもう少しドライバー側に近付けることで、タッチパネル&手元コントローラ併用式とするのでしょうか?
あくまでも手元コントローラのみに絞るのでしょうか?
それとも、他の手法を創りだすのでしょうか?
BMWの選択は、時に独創的だったり、時に保守的だったりしますが、消去法では無く「まず理想ありき」で選ばれます。
その選択を楽しみに待ちたいと思います。
前回・今回とマニアックな内容で、かつ長くなり恐縮に存じます。
お読み頂き誠にありがとうございました。 m(^^)m G.Sekido