先日の記事に引き続き、BMWから少し離れたネタから始まりますが・・・。
(後半にBMWに関係してきます)
このところ、一宮市内を走っていて、なぜか立て続けに珍しい車を3台見かけました。
(1) T社のエアロキャビンは、2代目ソアラ(日本専用車)の特別仕様車です。
T社初のリトラクタブル・ハードトップ(金属ルーフのオープンカー)で、1990年から500台のみ限定販売されました。
(2) R社のアヴァンタイムは、ミニバンをベースにしたクーぺ?という独創的な車です。
大柄なFFシャシー+3ドア+全方位に広いグラスエリア+個性的なデザインという成り立ちで、日本では2002年から206台が正規販売されました。
(3) O社のスピードスターは、同社初の本格スポーツカーです。
ロータスと共同開発・生産された、いわば「O社版のロータス・エリーゼ」ともいえる車で、日本では2003年からわずか80台が受注生産・販売されました。
いずれも元々希少な車ですが、生産・販売から年月が経っていることもあり、街中で見かけることはまずありません。
その希少性を確かめるために、大手中古車情報サイトGoo-netで国内で販売されている中古車台数を調べてみると、
(1)が4台、(2)が13台、(3)が6台と、わずかでした。
さらに新車販売台数に対するこの中古車台数を計算すると、
(1)は0.8%、(2)は6.3%、(3)は7.5%となり、(1)の残存率がぐっと低いようです。
(1)は他の2車と比べ10年以上古いことや、オープンカーは経年劣化で雨漏れが起きがちなことも影響しているとは思いますが、他の理由としては・・・。
日本では、「13年経過したガソリン車は自動車税や重量税が割増し」になります。
また「新車購入補助制度」(13年経過した車を廃車にして環境対応車に買い替えると補助金支給)という措置も、2009~10年にありました。
※総務省によると、「環境に優しいクルマを増やし、環境負荷が大きい車への重課が主な目的」とのことです。
(1)は全車が販売から二十数年を経過していますが、一段と低い残存率には、これらの制度も影響しているのではないでしょうか。
(画像はイメージです)
そんな時代の波の中、(1)の写真のお車は、弊社の近くでここ十数年程、まれにお見かけします。
しかも、どちらかというと無造作に、かつ普段乗りにお使いのようで、ある意味とても贅沢なカーライフを送られていると思います。
・・・ですが、「古い車が極端に少ない」という光景は、自動車先進国としては珍しい状況かもしれません。
例えばヨーロッパでは、ヒストリック・カーに対して様々な優遇措置が取られています。
★ドイツではヒストリックナンバー制度(価値を認定された30年以上経った車は、自動車税や保険料を割引)
★スイスではコレクターズナンバー制度(1枚のナンバープレートを複数のクラシックカーで兼用、車検・税金・保険の優遇)
★イギリスではヒストリックカー免除制度(1973年以前の車は税金免除)
他にも欧州各国で様々な制度があるようです。
「ヒストリック・カーには文化的な価値がある」という考えや、「一つの物を長く使うことも省資源につながる」という考えに基づいていると思われます。
(ちなみにアメリカは基本的に車検が無く、国土が広いので駐車コストが低く、湿度が低いので鉄が錆びにくい等、車の長期保有に適した環境があります)
ところが、最近になって日本でも同様の考えに基づく動きが出てきました!
ヒストリック・カーの価値向上を考える国会議員により「自動車文化を考える議員連盟」が設立され、経年車に重課税している現状や、欧州での優遇措置等について意見交換がなされたようです。
日本は世界に名だたる自動車大国なので、自動車の文化的価値に関して、むしろ世界をリードするような制度が生み出されることを期待します!
100周年を迎えたBMWは、BMW Group Classicという部門を刷新し、BMW創業の地で新オフィスを開設しました。
クラシック・パーツを管理し、BMWが所蔵するコレクションを維持・管理します。
さらに、顧客のBMWに加え、グループに属するMiniやロールス・ロイスのクラシック・モデルのメインテナンスも始めました。
先日のBMW GROUP Tokyo Bayでのグランド・オープニング・イベントには、数々のBMWのヒストリック・カーが展示されました。
これらの車両はBMW 100th ANNIVERSARY TOURとして全国7都市を巡り、8/28(日)には名古屋(ノリタケの森)にもやってくる予定なので楽しみです。
日本でも、行政と企業が足並みをそろえて、
自動車の文化的価値をさらに高めてほしいと思います! G.Sekido